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雪の日の空に

第8章 愛した人は…

「塩沢さんは、その人に会った事は無いんですか?」

恐る恐る塩沢さんの顔を覗き込むと、少し困った様に笑った。

「ああ…。その子は…、産まれてくる事すら出来なかったんだ。」

「え…?」

それって、どういう事?

佐月さんの大切な人って…。

「佐月は、忘れられないんだ。産まれてくる事の出来なかった自分の子供を…。」

愕然とした。

そんなの…、忘れる事なんて出来るわけない。

悲しみから助けてあげられる方法が見つけられない。

「で、でもじゃあ…、佐月さんの思う"ゆき"って言う人は?」

佐月さんの忘れられない人が自分の子供ならその人はいったい…?

私の口から出たその名前に塩沢さんの目が見開いた。

「それは…、その子の母親だ。」


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