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雪の日の空に

第8章 愛した人は…

「ゆき…、好きでもない男にキスなんてしたら他の男なら勘違いするよ?」

抱きしめられたまま、呟かれた。

「佐月さんは…勘違いしないんですか?」

私も佐月さんに回した腕に力を込める。

「佐月さんだって好きでもない女を抱いたら勘違いしますよ?」

探る様に聞き返す。

佐月さんはズルい。

まるで、私に好きだと言わせたいみたい。

「だよね。ごめん…でも、ゆきは特別。」

謝らないでよ。

佐月さんの特別ってなに?

「私も。佐月さんは特別です。」

同じように返す。

曖昧に佐月さんへの想いを伝える。

好きだと言えない今の私のギリギリの愛情の伝え方だ。

顔を上げると、佐月さんの視線と交わった。

言葉を発すること無く、自然に唇が重なる。




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