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雪の日の空に

第3章 似た顔

「はー、ごめんごめん。久しぶりにこんなに笑った。」

塩沢さんは、笑い過ぎて出た涙を吹きながら、こちらを見た。

私は真っ赤になった顔を隠す様に俯く。

失敗した、穴があったら入りたいとはこの事か。

「そっかー、永橋さんは俺のそう言うの気になっちゃうんだ。」

ニヤリと口元を上げて私の顔を見下ろす。

「いいえ!違います!」

必死で否定する私を見て、更に笑う塩沢さん。

大人の男の人が、こんなに大爆笑する姿ってあまり見ないから新鮮だ。

「嘘、冗談。俺、ずっと海外だったから、そういうの居ないんだよね。」

さっきと違う優しい笑顔。

「でも今、気になる子が出来た。」

そう言うと、塩沢さんの大きな手が私の頭に1度だけポンと触れた。

「じゃあな、また明日!」

そう言って真っ赤になった私を駅に残し、私はその後ろ姿を呆然と見つめていた。

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