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雪の日の空に

第3章 似た顔

塩沢さん、絶対勘違いしていた。

私があんな事言わなければ…。

明日からどんな顔をして仕事に行けばいいのだろう。

美咲に言ったら絶対色々面倒な事になりそう。

会社で会うことは滅多にないから、オフィスで大人しくしていよう。

そう心に決めて静かに目を閉じた。

けど…現実はいつでも私の目の前にある。

はぁ、結局眠れなかった。

のろのろと出掛ける準備をして家を出る。

こんなに憂鬱な出勤は初めてだ。ただ、顔を合わせなきゃいいことだ。





私の願い通り、定時まであと1時間と言うところまで塩沢さんと会うことはなかった。

今思えば、こんなに悩む事でも無かったかもしれないと、給湯室で湯呑みを洗っていた。

「永橋さん。」

ひょっこりと顔を出した塩沢さんの声に驚いて、持っていた湯呑みを落としてしまった。

「大丈夫?割れなかった?」

急いで駆け寄る塩沢さんに心臓がびくりと跳ねる。

「はいっ、大丈夫。大丈夫ですので、それ以上は…。」

肩が触れる位に近くなった距離に真っ赤になる顔をそらすと、子供のように覗き込もうとする彼に、抵抗する様に泡だらけの手を彼に向けた。

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