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雪の日の空に

第3章 似た顔

いちいちこんな事に反応するのは、私が男慣れしていないからだ。

そんな私の反応を面白がっているという事はよく分かる。

伊藤さんだって私に冗談を言って楽しんでいる。

それと同じだ。

「その手、俺に付けるなよ?」

泡だらけの手を指差し笑う顔に、やっぱり面白がっていると分かる。

「あ、はい。」

水道に手を伸ばしたくても、目の前に立たれてはそれが出来ない。

「あの…、手を洗いたいのですが。」

そんな言葉聞こえていないみたいで、塩沢さんは動こうとしない。

それどころか、そっと私の髪に手を伸ばし、目に掛かりそうな前髪をそっと横に分けた。

塩沢さんの顔が近くにあり、どんどん縮む距離に心臓が爆発しそうで、ついグッと目を閉じた。

「前髪、邪魔でしょ?」

耳元でつぶやかれ、離れたと思うとニコリと微笑み、「次会った時、前髪そうしてろよ。」と言って給湯室から出て行った。

その姿を見送ったあと、ヘナヘナとその場に座り込んでしまった。

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