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雪の日の空に

第3章 似た顔

佐月さんは少しずつ私との距離を縮める。

「髪、乾かす?」

そうだ、私ドライヤーを探していたんだった。

「あの、ドライヤーは…。」

キョロキョロとする私を他所に、意図も簡単にドライヤーの在り処を探し当て、それを持って来る。

「ありがとうございます。」

手を出して、受け取ろうとしたけど、それは私に手渡される事はなかった。

佐月さんは私の後ろに回り込むと、近くにあったコンセントにコードを刺し、私の髪に触れた。

「俺、美容師なんだ。俺にやらせて?」

柔らかな笑顔に、拒否することなんて出来なくて、静かに頷いて前を向いた。

器用に髪を乾かすその手が気持ちよくて、つい瞳を目を閉じていた。

そっか、美容師だったんだ。

また少し知れた事が嬉しかった。

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