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雪の日の空に

第4章 表と裏

「でも、ゆきは佑月さんの事なんとも思ってないの?」

「なんともって?」

だって、噂と事実は全く違って、私たちは別に恋人同士でもなければ特に仲が言い訳でもない。

「だって、ゆきの話し聞いてると、佑月さんはゆきに気があるみたいだし、ゆきはどうなのかなって思って。」

塩沢さんが?

私を?

「からかって遊んでるだけだって、ほら伊藤さんみたいに。」

「そうだとしても、好きでもない女の子を家に上げたりしないと思うよ?」

でも、それは雨のせい。

私が転んだせいだ。

それに美咲は?

塩沢さんのこと好きじゃないの?

こんなこと聞いて辛くない?

「美咲は、塩沢さんの事…。」

遠慮がちに口を開くと、美咲はニコリと微笑む。

「もちろん、良いなとは思ってるよ?隙があればいつだって狙ってるし。」

美咲の手がそっと私の手を包んだ。

「ゆきにだって負けないよ?」

陰でこそこそ言うんじゃなくて、はっきりと言う美咲の潔さに、顔を見合わせて笑った。

心から笑ったのは久しぶりだ

美咲…、ありがとう。

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