テキストサイズ

雪の日の空に

第6章 恋心

パスタを待つ間、向かい合わせで座った佐月さんは頬杖をつき、微笑みながら私を見ていた。

「そんなに見られると、緊張します」

俯く私に嬉しそうに笑い、それでもずっと私に視線を注いだままそらそうとしない。

「佐月さん?」

「俺のこと、佐月って呼んで。」

「え?でも…。」

男性を呼び捨てで呼ぶなんて、小学生の頃以来。

「お願い。」

佐月さんの笑顔は、有無を言わせない圧力がある。

流される様に佐月さんの言う通りに行動してしまう私は、この人には敵わないのだろうと思った。

「さ…さつ…、」

「ん?」

首を傾げて待っている顔は、やっぱり笑顔だ。

言わなきゃこの無言の圧力がずっと続く気がして、小さく深呼吸をした。

「さつ…」

「お待たせしました。」

助かった。

タイミング良くパスタが運ばれて来てホッと胸を撫で下ろした。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ