テキストサイズ

雪の日の空に

第2章 変化

今日は何やら社内が騒がしい。

女子社員が浮き足立っているのが一目で分かる。

美咲も例外ではない。

「今日、何かあるの?」

これだけ女子社員が念入りにメイク直しをしているなんて、とこぞの王子様が我が社に訪問でもするのだろうか。

「もう、ゆきったら社内報見てないの?」

人事異動、昇進、そんな時期では無いはず。

とすれば、誰かの結婚や退職なのだろうか、いやでもそんな事でこんなに騒がしくなるはずがない。

はぁ、とため息をついてから、美咲が得意げに腕を組んだ。

「去年、他の会社からヘッドハンティングされた人が本社からNY支社に行った話は知ってるよね?」

その頃美咲が同じ場所で働けると思ってたのに。

とか、なんとか言ってた凄腕イケメンの事だ。

「その人が今日から本社勤務になったんだよ。」

なるほど、それでか。

「私はこの日を待ち望んでたの。」

目を輝かせながら、話す美咲につい笑ってしまう。

私には関係のない、女子社員の決戦の狼煙が上がった。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ