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「佐月の前だとそんな顔すんだ。」

恥ずかしさを隠す様に顔を押さえた。

「佐月と付き合ってるって、本当？」

「それは…。」

「本当だよ？」

いつの間にか近くにいた佐月さんが話しに入る。

本当だと言われ驚く。

佐月さんと私は付き合ってるフリをしているだけだ。

塩沢さんには本当の事を言った方がいいんじゃないんだろうか。

「佐月さん…？」

佐月さんはニコッと笑い、私の言葉を征する。

「ゆづには関係ないでしょ？」

2人の異様な雰囲気に、少し居づらくなる。

「永橋さん…。佐月に本気なのか？」

突然私に向けられた塩沢さんの視線が痛い。

私達の関係が偽りのものであっても、私の気持ちは本物だ。

「はい。」

はっきりと答えた私に、2人は少し驚いた顔をしていたけど、佐月さんには今を逃れるための嘘だとしか思われて居ないのだろう。

「ゆき、行こう。」

差し出された佐月さんの手を取り塩沢さんの前を後にした。