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雪の日の空に

第7章 偽りの関係

私はこんなに好きなのに

佐月さんは違うんだと思い知らされる。

そんなの初めから知っていた

それでもいいと抱かれたんじゃないか。

心なしか元気のない佐月さんを素肌のままぎゅっと抱きしめた。

「ゆき?」

この人の悲しい顔は見たくない。

「佐月さん。元気出してください。」

胸に顔をうずめる私を見ようと

一瞬離れようとする佐月さんだったが

それを阻止しようと、一層強い力で抱きついた。

「何で?元気だよ?」

「なんとなく、言ってみただけです。」

誤魔化すように言う私を佐月さんは戸惑う様に優しく抱きしめてくれた

体だけでも彼を受け止める事が出来るなら

私は喜んで彼を受け止めよう。

「ゆき、ありがとう。」

佐月さんのそんな声がしたけれど、それが夢か現実かわからないまま彼の温もりを感じながら、意識を手放した。

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