
月のない世界の中で
第1章 起因
キーンコーンカーンコーン
畠山が次回の授業までに提出する様にと皆んなに四則演算の問題がズラリならんだ紙を配って行く。
そして、休み時間を3分押して彼はようやく在るべき場所へ帰るのであった。
「全くよぉー、いつもいつも長老はこうやって俺たちの大事な休み時間を削っていくんだ!」
「ホントだよな、次の時間体育なのにさ。」
畠山が居なくなった途端、いつも教室が沸く。
これが恒例行事みたいなものにもなってるのかもしれない。
「おーい、タキちゃんタキちゃん…」
ボンっ、と滝の肩に大きく手を廻した男。
骨張った華奢な腕からは安い香水の香りがする。
金髪で学生服の袖を捲り上げ、第3ボタンまで開いたそれは彼のトレードマークとも言える。
このいかにも目立ちたがり屋な彼は皆藤衛。
滝を必ずと言っていいほどイジるクラスのお調子者的な存在だ。
「さっきは残念だったね〜、折角気持ち良さそうに寝てたのに畠山に起こされてさ。次は体育だからボサッとすんなよ〜」
甲高い声をあげながら皆藤はジャージを片手に仲間達と教室を出て行く。
畠山が次回の授業までに提出する様にと皆んなに四則演算の問題がズラリならんだ紙を配って行く。
そして、休み時間を3分押して彼はようやく在るべき場所へ帰るのであった。
「全くよぉー、いつもいつも長老はこうやって俺たちの大事な休み時間を削っていくんだ!」
「ホントだよな、次の時間体育なのにさ。」
畠山が居なくなった途端、いつも教室が沸く。
これが恒例行事みたいなものにもなってるのかもしれない。
「おーい、タキちゃんタキちゃん…」
ボンっ、と滝の肩に大きく手を廻した男。
骨張った華奢な腕からは安い香水の香りがする。
金髪で学生服の袖を捲り上げ、第3ボタンまで開いたそれは彼のトレードマークとも言える。
このいかにも目立ちたがり屋な彼は皆藤衛。
滝を必ずと言っていいほどイジるクラスのお調子者的な存在だ。
「さっきは残念だったね〜、折角気持ち良さそうに寝てたのに畠山に起こされてさ。次は体育だからボサッとすんなよ〜」
甲高い声をあげながら皆藤はジャージを片手に仲間達と教室を出て行く。
