
月のない世界の中で
第1章 起因
僕が夢の世界へ誘われる時、目覚めるところはいつも決まってる。
真っ暗闇で何も見えない不安な世界。
でも、必ずヒナゲシの花が僕の目の前に現れてくれるんだ。
辛かった事や、悲しかった事
僕が味わったちっぽけな感情はこの花が全部忘れさせてくれる。
でも、たまにこの夢から抜け出せなくなるんじゃないのかって怯える事がある。
ヒナゲシを見つけても見えない光。
ヒナゲシを見つけた時、いつも枯れてしまう。
僕の掌の中でゆっくり枯れて、やがて目が覚めるんだ。
だから僕には光が見えないんだ。
ずっと見ることない光を捜して僕は彷徨い続ける。
ーーーーーー
ーーーー
ーー
…
チャイムの音が保健室に鳴り響くと、滝は取り憑かれた様にぬるりとベッドから這い上がった。
カーテンの裾口から覗く靴はもう無い。
先約は一足先に戻ったそうだ。
「あなた、かなりうなされていたわよ。精神的にも不安定でしようからまたツラくなったらいつでもいらっしゃい。」
姫野は本物の笑顔で滝を見送った。
真っ暗闇で何も見えない不安な世界。
でも、必ずヒナゲシの花が僕の目の前に現れてくれるんだ。
辛かった事や、悲しかった事
僕が味わったちっぽけな感情はこの花が全部忘れさせてくれる。
でも、たまにこの夢から抜け出せなくなるんじゃないのかって怯える事がある。
ヒナゲシを見つけても見えない光。
ヒナゲシを見つけた時、いつも枯れてしまう。
僕の掌の中でゆっくり枯れて、やがて目が覚めるんだ。
だから僕には光が見えないんだ。
ずっと見ることない光を捜して僕は彷徨い続ける。
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チャイムの音が保健室に鳴り響くと、滝は取り憑かれた様にぬるりとベッドから這い上がった。
カーテンの裾口から覗く靴はもう無い。
先約は一足先に戻ったそうだ。
「あなた、かなりうなされていたわよ。精神的にも不安定でしようからまたツラくなったらいつでもいらっしゃい。」
姫野は本物の笑顔で滝を見送った。
