《番犬女》は俺のもの
第7章 誘拐
窓をはさんで──
内側に茜。外側に零。
「どうした、掃除に戻れ……」
窓のさんに肘を付けたまま茜は鋭い声で言ってのけた。
「…茜さんが嬉しそうな顔してたから、どうしたのかなーって」
零は竹ホウキを立てると、そこに肘をおいて茜と同じように頬杖をつく。
意味ありげな表情の
彼はいまも笑っていたが
なるほどそれは…爽やかではない。
「ハッ…黒いな…」
黒くて、妖しい
「──?」
「いいんじゃないか?ギャップがあって…。女子にモテるぞ」
「…そう? なら、茜さんにもモテるってこと?」
「っ…// 私は別に…!」
茜は彼を睨みあげる。
「そんなギャップ、苛つくだけだ…」
どうにも掴めない篠田という存在が、彼女には苛つきの要因でしかなかった。