《番犬女》は俺のもの
第7章 誘拐
「第一に、お前はすぐにサボろうとするから目が離せないな」
本当は、罰掃除はおとといの放課後にやるはずだったのに
この男はいつの間にかしれっといなくなる。
やっと捕まえたのが今日ということだ。
「…どうして?俺は茜さんから逃げも隠れもしないさ。そこでずーっと見ててくれるんなら、真面目に掃除するし」
「…っ…何様のつもりだ」
あの笑顔がいちいちムカついて仕方がない。
なぜだ……!?
ハッ…! そうか!
あの笑顔は表面的なもので、その裏では腹黒いことを目論んでいるからだ
だから何か引っ掛かってしまうんだな。
なるほどなるほど、やはりこの男は腹黒に違いない。
「つまりあのキーホルダーに見覚えがあったのは、篠田に似ているからだ…」
スッキリ解決
「…なに…ボソボソ言ってるの」
「──…てッ!?」
ひとりで納得して頷いていると
目の前に零が迫っていた。