《番犬女》は俺のもの
第7章 誘拐
いきなりなんて所から登場するんだ茜さん
「…あっ…//」
けれど彼女たちの顔は赤らむと同時にパッと輝く。
「男どもが教室でバカ騒ぎか?」
「…いえ、そうじゃないんです。実は青崎高校の制服を着た人が…!! 」
彼女たちの悩みはいつもより深刻だった。
「この学校を覗いてるのが…さっき、三階から見えてしまって…っ。それで、この前の仕返しに来たんじゃないかって怖くて……」
「…青崎の…!?」
「はい…」
「──わかった。下校時には人通りのある場所まで私が付き添うことにする」
彼女たちはあの一件に関わっている。
もし相手に顔を覚えられていたら…狙われる可能性もなくはない。
「…今から帰りか?」
「…あ、はい…!」
「よし、すぐに靴を履き替えるからここで待っていてくれ」
「ありがとう…っ、茜さん…!!」
「かまわない……」
そう言った茜は、いったんいなくなるのかと思っていたら
さっと窓を抜けてこちら側に飛び降りてきた。
「…靴は?」
零が聞くと
「昇降口ならこちらから行った方が早い。
……廊下は走れないからな」
そう言ってあっという間にいなくなった。