《番犬女》は俺のもの
第7章 誘拐
「ちょっといいかな君」
「あっ…、久藤先輩…//」
茜が声をかけた彼女はどうやら1年生のようだ。
「ここの生徒のことなんだが、茶髪で背の高い男がこの道を帰っていった筈なんだ」
「……、あの人かな…?」
彼女に心当たりがあったようだ。
「少し前に制服の男の人と通りすがりました。それが…スッゴいスピードで走ってて…。格好いい人だったから覚えてます……っ」
「…走っていた? …わかった、ありがとう」
最後の一言が余計だけれど。
彼女が校舎に戻ったあとも、茜は後始末をしながら考えていた。
“ 急用でもできたのか? ホウキだって校門前に捨て置いてあるしな… ”
カサッ
「──? 」
メモ用紙、か
それは落ち葉に紛れてちり取りに入ろうとしていた。
おもむろに拾い上げて中身を読む。
「……!? …なっ…!! 」
これは
「女をあずかった…!? 」
──繋がった。