《番犬女》は俺のもの
第8章 手段は選ばない
茜は突然、跳び箱から降り立つと
積まれたマットに座る零の前にやって来た。
「…それとな、篠田」
「?」
ビュッッ───
「…!!」
何をするのかと思えば…
茜は脚を振り上げると、彼の顔に向かって華麗な回し蹴りをおみまいした。
その足はすれすれで零の鼻をかすめる──
「…わかったろう」
「──…!?」
「私はスパッツ着用済みだ。スカートの下は…下着ではないからな…っ」
「…ドキドキ」
パンツ見えるかと思った…
今度は零が溜め息をつく番だ。
「はぁ、それにしても喉が渇いた…。水か何か持っていないか?」
「…全速力で走ってきたんだね」
「まぁな…っ、一応…お前が無事かどうか心配だったからな…」
零は、茜のために走り
茜は、零のために走り…
なんとも不思議な関係だ。