《番犬女》は俺のもの
第1章 生徒会の番犬
「怖すぎだろ、久藤 茜…!!」
「墓場に眠る憐れな犠牲者がまた増えたな」
そう、あの焼却炉は茜によって没収された物たちが数えきれないほど眠る《墓場》なのだ。
「今度花でも供えてやれ…」
「…うん」
「いや、ばれたら俺らが燃やされるぜ」
「…だな」
見なかったことにして窓から離れる。
「何、…見てるの?」
「ん?」
振り返ると、そこには見知らぬ男子生徒が立っていた。
「…誰だ?」
「あっ、お前知らないのか。新しく俺のクラスにきた転校生だよ。
名前は確か…篠田 零 ( シノダ レイ ) 」
「へぇー、転校生か」
うちのひとりが転校生を紹介する。
零と紹介されたその男は、とくに人見知りする様子もなく軽く笑顔を見せた。
「ヨロシク」
「ああ、よろしくな」
「…で、何が見えるの」
「何って…、この学園の《番犬》だよ」
そういった男子は意味深に笑う。
「…番犬?」
何も知らない零には理解不能な言葉だった。