《番犬女》は俺のもの
第8章 手段は選ばない
あの少し懐かしいメロディー
「……!! わかった」
彼女の頭に、ひとつの場所が浮かんだ。
ならこんなところに留まっている暇はない。
茜は立ち上がって倉庫の扉に手をかけた。
黙ってあとを追おうとした零だったが…
「お前は来るな」
「……どうして? 」
「向こうの思うツボになったら意味がない。私が行ってくるから…これ以上関わるな」
つくづく理解できた
相手は大バカ者だ。
自分のしていることを冷静に見れていない…危ない集団。
茜が青崎の生徒とやりあったのは初めてではない。だからこそその危険性は知っているつもりだったけれど
──ここまでとは、噂どおりだな。
「…気を付けて帰れよ」
そして茜は倉庫に倒れた男たちを目に止めて、皮肉っぽい笑みを見せた。
「まぁ…篠田なら心配いらないな」
「……」
彼女は倉庫を後にした。