《番犬女》は俺のもの
第8章 手段は選ばない
通話は再びOFF画面に──
「…気絶したふりなんてみっともないね」
「…ひぃッ」
奴の顔は見えない。
男はひたいの髪の毛を掴まれ、無理矢理に上を向かされた。
「…ホントに気絶する?それとも、電話相手の居場所を俺に教えとく?」
「…お前ッ…行くのか…!?」
さっきの女はついてくるなと言った筈
「行くに決まってるでしょ──だって茜は女の子、……なんだからさ」
「……ッ」
「さ、…居場所、吐いちゃおっか♪」
その表情が見えないだけに
男を襲う恐怖は生半可なものではなかった。