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《番犬女》は俺のもの

第8章 手段は選ばない




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ビルの中は異様に寒かった。


階段を上りきるとすぐ目の前にドアがあって、半分ほど開いていたので中の様子を見ることができた。


もともとは何のビルだったが知らないが、その部屋には家具も絨毯もない。

ただ山積みのダンボール箱があるだけだった。



“ ひとり、ふたり、……全部で五人か…”


部屋の中には当然、男もいた。
全員、青崎の制服だ。



五人なら…想像していたよりも少ない

これなら大した手間ではないな。



──彼女はそう判断する。



だが問題は向こうに人質がいることだ。


茜がドアの隙間から目を凝らすと、奥の男の背中側に女がいるのが見えた。



「…あれは制服…。やっぱり凰鳴の女生徒か…」


床にぺたんと座る彼女は、男に隠れて顔は見えないが凰鳴の生徒で間違いないようだった。



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