《番犬女》は俺のもの
第8章 手段は選ばない
「わからないのか!? このシナリオはこいつ等が用意したまんまだ…っ」
結果的に篠田をおびきだした。
助けを呼べないこの閉じた空間に…!
おまけに人質つき…
少年漫画にでもでてきそうな不利な状況じゃないか。
「ハハハ!その通りだな」
茜の叫びを聞いて、不良たちが嘲笑う。
「…わかってると思うが抵抗するなよ?人質、傷付けたくなかったらな…!!」
「久しぶりのサンドバッグだ。楽しもっと♪」
ポケットに手をいれて突っ立っている零を、三人で取り囲んでいた。
……しかし零は周りの男たちなど視界に入れない。
彼はずっと茜だけを見ていた。
「…君たちに教えてあげようか」
「ああ?」
「人質とる時はさ…自分より弱い人間じゃないと意味ないよ」
「……なッッ」
「…そう思うだろう? 茜さん」
男たちなど眼中にないかのように、彼は淡々と茜に話しかけている。