《番犬女》は俺のもの
第8章 手段は選ばない
「…もしかしてあの屋上で、わたしが茜ちゃんにお願いしたから…!?」
座った梗子は茜の手を掴んだ。
「…っ…だから…こんな…」
梗子を庇い、男の前で服を脱ぎ捨てた茜。
梗子を守るために拳を使うことはできない。
だからこうするしか守る手段がない。
人質の女が梗子であると気づいた時から茜に勝算はなかったのだ。
「……ハァ‥」
二人を見ていた零は切なくなった。
“なんで俺…女の子に嫉妬しなきゃいけないわけ”
茜が男らしすぎて涙が出てきそうだ。
まぁどうせ…そんな理由だろうと思ったからさ…
ここで俺が暴力沙汰にしちゃったら、肌をさらした君の我慢が無駄になるんだろ?
「さっきから‥うだうだ五月蝿ぇぞお前ら」
「…痛いの我慢して殴られにきたけどさ」
「……??」
やっぱりね…
零は、破り捨てられた茜のシャツに目をやる。
「…ごめん、茜さん」
「…なんだ…」
「せっかく茜さんが守ろうとしたのに、俺、この状況見せつけられたら我慢できない
……他の手段を選ぶ余裕ないよ」
茜さんの約束、俺が壊させてもらうね