《番犬女》は俺のもの
第8章 手段は選ばない
茜の約束──
暴力沙汰にはしないという約束。
「……ッ」
零は目の前の男の胸ぐらを掴んで引き寄せ
間抜けた表情で驚くその顔を鋭いアッパーで吹っ飛ばしていた。
「ひぃ‥」
振り向いた零と目があった男は怯える
微笑んでいたはずの彼の瞳が、いつの間にか怒りの色で鋭く睨みつけてきたからだ。
そいつは怯んだまま、胴体に蹴りをくらい後ろに飛ばされる──
段ボールの山に尻から突っ込んで埋もれてしまった。
「…あッあいつ…!」
茜たちの側にいた男のひとりが、ハッとして梗子に向き直った。
そしてその細い腕に掴みかかるが──
「おいお前止まれ!さもないと…っ」
「──!‥彼女にさわるな!! 」
「…っ」
梗子の腕を掴んだ男の手を
茜がすかさず攻撃する。
肘にめがけて強烈なチョップをおみまいした。