《番犬女》は俺のもの
第9章 おしおきの時間
「…!? どしたの…?」
零はそんな茜を心配した。
「なんなんだよ…!! あの時のお前の目は…っ」
あの声とあの表情
普段のお前じゃないだろうが…っ
「──相手が刃物出してきたらッ よけろよ!」
「…っ」
「…掴んでんなよ…バカ野郎!」
「……ごめん」
震えるナイフにくい込む零の指と
滴る血がよみがえる。
あの時の彼に恐怖を感じたのは青崎の男だけではなかった。
「お前みたいな危なっかしいのは、初めてだ…」
「……クスッ」
「何っ…笑って…」
小さく笑った零
彼は右手でそのまま、ボタンを受け取った茜の手首を掴んで自分に引き寄せた。