《番犬女》は俺のもの
第10章 見舞い
零の指は包帯とサポーターでしっかりと固定されている。
「…それにしても」
茜が怪しむ目で周りを見渡した。
「…何なんだここは…(汗)」
「?」
──なんだ!?
ここが篠田の家か?
…茜が怪しむのも無理はない。
いま彼女が訪ねているのは
駅前にある25階建ての高層タワーマンションの一室なのである。
確かここは最近に完成したまだ新築のマンションであり、その外観は磨かれたように綺麗だ。
管理人がいるエントランスを抜けると…
ソファやテーブルの置かれた豪華なロビーまであった。
「ロビーには水槽まであったぞ」
「……」
「水槽の中で、でかい熱帯魚が泳いでるし」
「……」
「でかいわりには臆病で、私が覗きこんだら逃げていったがな…っ」
いや、そんなことはどうでもよくて
「何なんだ!? このマンションは」
本当にここに住んでいるのか?