《番犬女》は俺のもの
第10章 見舞い
問い詰める茜。
「……うん 俺はここに住んでるけど…」
「私は初めて、エレベーターで25階のボタンを押したぞ…」
「…なんかごめん」
「……」
零はなんとなく謝ってみた。
言いたいことを言い終えて少しスッキリとした茜は、手にしていた荷物を彼に差し出した。
「何?これ…」
荷物…いや、大荷物
大きめの紙袋二個分のその中身は、たくさんの手作りのお菓子や手紙たち。
…あれ、今日はバレンタインだったっけ(汗)
まだ10月なのに。
「私が病院を訪ねると知った2年の女の子たちが、見舞いの品を用意してくれた」
「……で、茜さんが届けに来たの?」
「お前みたいな " 変態 " に…か弱い女をさしだせるわけがないだろう…」
「──…」
俺って危険人物だったのね
零は何とも言えず苦笑いしていた。