《番犬女》は俺のもの
第16章 新婚生活 開始!?
「…っ…篠田」
茜はきまりが悪そうに彼を見やる。
4組に零が現れたことと、呼んだ相手がまさかの茜だったこととに驚いたクラスメイトの注目は、一瞬で二人に集まった。
「…茜さんに用事…?」
「久藤を下の名前で呼ぶとは命知らずな…」
男女ともに不思議がっている。
そんなクラスのどよめきに気付いているのか知らないが、気にするそぶりはしないで零は茜の席までずんずん進んでいった。
席に座った彼女の横に立つ。
「お昼ご飯、食べよ」
そうきたか
何の断りもなく隣の席の椅子を引いて彼は腰かけた。そして机の上にコンビニで買ったのであろう菓子パンを置く。
「……」
「茜さんのお昼は?」
「…ハァ、場所を変えるぞ…っ」
クラス中の視線がものすごい。
その理由を知る彼女は弁当袋を持って立ち上がり、零に一言声をかけて教室から出ていってしまった。