《番犬女》は俺のもの
第16章 新婚生活 開始!?
「お前、小食か…」
女生徒の中には似たような子もいる。
痩せたいからと弁当が極端に少なかったり、コンビニで買ったサラダだけだったり、零のように菓子パン一個だったりする。
だが、彼がダイエットのために食事制限をしているとは考えにくい。
「よくそんなに背を伸ばせたな」
「俺だって人並みに食べるよ?今日はたまたま好きなパンが売ってなかっただけで」
「栄養が偏りすぎだ。小麦粉なんて炭水化物しか含んでないぞ…。米を食べろよ」
ほら
と、彼女は弁当の一段目、大量の白米を零に差し出した。一緒に箸をそえて。
「噂によると授業中いつもボーーっとしてるらしいじゃないか。きちんとした食生活を身に付けろよ」
「…茜さん、お母さんみたい」
「──お前みたいな変態の親なんてお断りだ!…っ…早く食べろ」
「あ」
「──?」
零が唐突に口を開けた。
──まさか
「食べさせて」
「……(ブチッ)。お前なぁ」
「お願い」
「…っ…んだその目は」
彼女は怒鳴り付けようとしたのに、零がいきなり仔犬のように瞳を潤和せてくるものだから…。
幻覚か?彼の後ろで尻尾がパタパタしている。