《番犬女》は俺のもの
第16章 新婚生活 開始!?
零の誘いを断った茜の、放課後の用事とは実はアルバイトだった。
「次ので久藤は最後だ、よろしく頼むぞー」
「はい」
荷台いっぱいに荷物をつんだトラックがやって来て駐車される。
額にタオルを巻いた男達がそのトラックに集まり、おのおので荷物を持って倉庫内へ仕分けを始めた。
積み重なった二つの段ボールをまとめて持ち上げた茜
「大丈夫か?」
「中はそんな重くないです」
「頼もしいなー」
前が見えないので横歩きで移動する彼女の後ろから、同業の男が声をかけてきた。
けろっとした顔で返事をするので彼も安心して仕事に戻る。
──この職場に女は茜以外にいないし、高校生も少ない
初めて茜が出勤した日は、周りの男は心配するような迷惑そうな反応だったが
いまはすっかり頼れる仲間だ。
彼女はサボらずただ黙々と仕事に励む。
実に模範的な従業員であった。