《番犬女》は俺のもの
第16章 新婚生活 開始!?
思ったそばからバレた──!
「なんでいるんだよ篠田ぁ…」
青ざめた彼女は右手で顔を覆う 。
バレた、最も知られてはいけない男に。
「学校から、つけて来たのか…!?」
「だって用事の内容を教えてくれないから」
「──は? ならずっとここで待ちぶせていたのか?三時間以上だぞ…っ」
「…暇すぎて死んじゃいそうだったよ」
制服姿のまま、鞄を肩にさげて…
零はしてやったりという表情で立っていた。
「でもさ、うちってバイト禁止だよね」
「……っ」
茜は、彼の尾行に気づけなかったことを酷く後悔していた。
「…しかもこんな体力削る仕事してさ。真面目にもくもくと汗流してるから、…健気すぎて涙が出てくるよ」
「……!!」
「キツくないの?」
零は仕事終わりの茜に近付いて、後ろで無造作にくくっていた髪のゴムをスルッと抜いた。
肩の上に落ちた彼女の黒髪を、優しくとかしながら零は話しかける。