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《番犬女》は俺のもの

第3章 天敵現る




「あれ?早かったな」

無傷で帰ってきた生け贄に、1組の男子はほっと胸を撫で下ろす。


「…ムス」

けれど席に戻った零は不機嫌だった。



外の不良たち?

なんの話か知らないけど
君こそまるでチンピラじゃないか。


「何だ…? あれ…」


朝っぱらから

よくわからないのに絡まれた…。







───…



4組に戻った茜


少しして教師が現れ朝礼が始まり、プリントが配布される。


「…ムス」

「…っ…(汗)」

前の席の男子がプリントを渡そうと振り向くと、いつも以上に鋭い目付きでチラリと見られた…


怯えた彼は一瞬固まり

さっと前に顔を戻して冷や汗をかきながら教師にすがるような目を向ける。



イラッ


その男子の怯えた反応がますます茜を苛立たせる。



《…イヤ、だね》


「……っ」

思えば久しぶりに男にくちごたえされた。

あの事件以来、茜に刃向かう生徒はほとんど見られなくなったというのに…。


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