《番犬女》は俺のもの
第17章 ライバルな転校生
「……」
自分に関心を示さないひとりの女生徒に、転校生がちらりと視線をおくる。
「はじめまして、みなさん」
よくとおる明るい声が教室に響いた。
「僕はハルク・ウィルアーニ。
生まれも育ちもイギリスだけど、事情があって日本の学校に通っている、十二歳のときから」
「ウィルアーニ…」
名前を聞くだけで女子はうっとりだ。
感じのよい転校生に男子生徒も気を良くしている。
“ 寒くなってきたと思っていたが…、もうすぐ12月になるんだな ”
茜だけは相変わらず無関心で、日誌に日付を記入しながら季節の変わりを感じていた。
「この学校に来る前は、別の高校に通ってた」
「……テンキは、曇り?か?」
「──そこの、青崎高校に」
「──…!?」
ペンを持つ茜の手が止まる。