《番犬女》は俺のもの
第17章 ライバルな転校生
ハルクの発言に反応したのは茜だけではない。
青崎高校、と聞いてそれまでのクラスの空気が一変してしまった。
凰鳴の男子がだらしがないといっても、青崎に比べれば可愛いもの。近所の不良校に皆がもつイメージは最悪だった。
クラス中がそうしたように、茜は警戒の眼差しでハルクの姿を改めて見た。
色素の薄いウェーブがかった金髪ショートヘア。
外国人特有の高い鼻の上に
茶色の瞳をもった人懐こい目。
そして日本の男子よりか大人びた容姿をしていた。
“ こいつがあの高校に…? そんなの、いいターゲットにされたに決まっている ”
それは、ハルクが奴等と《同類》でなければの話だが──。
もし他生徒と一緒になって悪さをしていたというのなら話は別だ。
「うそ…、青崎ってあの?」
「こんな時期に転校してくるなんて、何か不味いことがあったのか?」
「まさか何ンかしでかしたとか」
教室がざわめく
「静かに!」
担任が注意するが効果はなかった。