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《番犬女》は俺のもの

第17章 ライバルな転校生


本日の一限目、日本史の授業。
もちろんクラスの注目は転校生の様子だ。

明治維新の話をする教師の言葉をハルクはちゃんと理解できているんだろうか。

「……」

彼は真面目にノートをとっている。


隣の生徒が覗き見ると…

漢字と英語がいりまじった、不思議なノートができあがっていた。



「じゃあ確認テストするぞー」

「Oh ──my GOD....」


頭を抱えたハルクのその呟きを、周囲の生徒が聞きもらすことはない。


そして──

ほとんど白紙で出したのであろうテスト用紙。


科目が科目なだけに、無理ないのだが…。



“ ちょっと落ち込んだ感じが可愛いな… ”


“ イケメンだからびびってたけど、案外フツーの奴かもな、安心した~ ”



留学生と聞いて、とんでもない天才を想像していたクラスメイトたちは心の中で安堵していた。





────



それから休憩時間になり


誰が初めに話しかけるか、転校生あるあるの目配せが4組の教室でおこなわれていた。



「お前、話しかけろよ」

「いや…っ いまノート見直してるみたいだし? 邪悪しない方がいいだろ」




ガタッ



「──ッ」



ハルクが立ち上がった。


そして顔をあげて教室を見回す。




誰に話しかけるんだ?


緊張気味の生徒たち。



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