《番犬女》は俺のもの
第17章 ライバルな転校生
「名乗った覚えはないんだが」
「日直、でしょ?」
「ああ…」
ハルクが黒板を指差すと、日付の下に今日の日直の名前が──《久藤》という文字があった。
「キミの下の名前は?」
「──…。(馴れ馴れしいのは嫌いだ)」
篠田といいこいつといい、転校生は何故こうも私の名前を知りたがるのか。
「教えてくれないの?」
ついていけない。
茜は答えることなく黙っていた。
「茜さんよ…っ」
横の女生徒が、見てられなくなり茜の代わりに答えてやる。
「アカネ? see…」
「…」
「ヨロシクね、アカネ!」
「なんなんだお前はっ」
我慢できなくなった茜が、明らかに不機嫌な顔になってハルクを睨みあげる。
握手をしようとさしだしてきた手を無視して冷たく言い放った。
「初対面でいきなり呼び捨てだと…? ここはイギリスじゃないんだ。日本の礼儀を覚えろ」
「僕はただ、キミと友達になりたくて」
「──友達?そういうのはな…」
腰をあげた彼女の手が
ハルクの制服の襟元を掴んだ。