《番犬女》は俺のもの
第18章 おちゃらけプリンスの正体
2年の階についた彼女たちは4組の教室に向かって廊下を進む。
すると途中の1組の教室の扉が開いて、上半身裸の男子二人が飛び出してきた。
「ちょッ かえせよ!」
「ばーか お前がさきに…」
1組はこれから体育のようだ。
互いに相手のシャツをとって、悪ふざけをしながら走り出そうと…
──したのだが
「おい」
「ぁ…」
目の前に立ち塞がったのは《生徒会の番犬》。
(ちなみに絶賛 不機嫌中)
その黒髪を後ろで高めに纏め
きりりと上がった目が冷たく睨みをきかせている。
「猿か、お前ら。…山に帰れ」
「…なッ」
ムッとした男子生徒は、手に持ったシャツでさりげなく身体を隠しながら茜に向き直った。
「目のやり場に困っている女子の存在に気づかないのか? だ い い ち に、廊下は走るな」
「…っ」
彼女に言われて周りを確認すると、廊下を歩く他クラスの女生徒が逃げるように教室に戻っていく。
そして同じように、注意された彼等も1組に逃げていった。