《番犬女》は俺のもの
第18章 おちゃらけプリンスの正体
「ワォ」
一連の様子を見ていたハルクが感心して言った。
「すごいな、アカネには誰も反抗しないんだね」
やっぱり噂通りの女だった。
彼女の実力を目の当たりにして、ハルクの目がきらきらと光る。
「反抗心は ありありだろうな」
「でもキミの言葉に大人しく従っている」
「…勝手に怯えているんだ、私に」
不思議なものだ。
私が校内で本気で男を殴ったのは、たったの一度。
“ ──下着泥棒のあいつ、だけ ”
しかし、凰鳴の男子生徒が茜をこれほどに恐れるようになったのは…
何もあの一件が全てではない。
校外での彼女の《影》の部分
どこぞの不良達とやり合ってきた彼女の諸騒動は、表沙汰にならなかったとしても、どうやってか噂として耳に入っているようだ。
別の高校にいたハルクも、彼女を知っていたのだから…
それらの噂がどれほど広まっているのかが伺える。