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《番犬女》は俺のもの

第19章 警戒


零はハルクには気付かれないことを前提におき、そして彼のあとを追って下った。


ハルクが下駄箱を閉めて
出した靴を履き外へ出る。


続く零は、履き替えたかかとの潰れた上靴を収めることなくその場に放置して昇降口を出た。



…だからといって零は慌てているわけではない。



ハルクがゆったりとしたペースで歩いていくので、ただその後を同じ距離を保ってついていくだけだ。



物影に隠れることもしなければ

顔を隠すこともない。



ただ視界の端にターゲットをひっかけて、いつものように下校するだけ。




十二月の寒空にコートも羽織らず──

零は静かに尾行を続けた。



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