《番犬女》は俺のもの
第22章 茜サンは、強いよね
少し固めの麺が篠田流だ。
ものの数分でパスタは茹であがり、それを二つの皿に渦をまくように盛り付ける。
煮込んだソースを上に被せると
レストラン級の巧みな夕食が完成。
名付けて
《鮭とキノコの味噌クリームパスタ》
零のオリジナルだ。
彼は出来上がったパスタを硝子の丸テーブルに運んできた。
「待ってて、いまフォーク持ってくる」
「…。悪いな」
カーペットの無い部屋なので二人はソファーに腰を下ろし、目にも美しいその料理を眺めている。
「今日も、自信作」
「──…結局イタリア料理か」
「うーん。なら今度の愛情弁当はフィッシュ&チップスに決まりね!」
「…やめろよ脂っこい(汗)」
「──ならドジョウゼリーにしとく?」
「……。遠慮する(頼むからやめてくれ)」
そんなやり取りを挟んだあと、彼女が食べた零の手料理は当たり前のように美味しかった。
パスタに味噌という発想がなかったが…こんなに合うものだったとは。
自分にも作れるなら母さんにも食べさせてあげたい
茜はそんなことを思ったりもした。