《番犬女》は俺のもの
第22章 茜サンは、強いよね
強さへの不信感
バカバカしい──
「でも不思議と茜さんだけは、本当に強い人間だって、そう思えるんだ」
何故だろう?
出会ったその日、俺がホレたこの女は…
どうしてこんなに力強いのか。
俺が鼻で笑っていた──
世界に溢れた " 尊厳 " と " 誇り " を
茜さんに感じた途端、今度は頼もしくてしかたがなくなる。
「篠田のほうが…強いだろうッ」
「弱いよ」
父から、ミドルトン家から、そして国から
逃げた俺は本当に弱い人間だった。
だからこそ俺はキミが欲しかったんだ。
「強くて可愛い…俺のネコちゃん」
「…、//」
「──…抱かせてよ」
零の瞳が潤んでいるのは泣いているわけではなく
溢れる彼女への愛しさに
熱を帯びているだけだ──。