《番犬女》は俺のもの
第4章 Rock oN!!!
あっち系ってのはどっち系だ
「…私を馬鹿にしてる…よな」
「そう思われても仕方ないよね。だって女子には親切なのに、男の俺には冷たすぎるというか…」
「……イラッ」
茜の身体中から漏れだす敵対心
「…私は男が嫌いなだけだ!」
茜の歩幅が大きくなる。
しかし零は離れなかった。
道行く人が二人を見たら、喧嘩中のカップルかと見間違えるかもしれない。
「男だからって理由で、はじめから冷たく接するのはどうかと思うけど」
「……では言い直す。お前が、嫌いなんだ」
「…っ…傷つく…、俺の何が嫌いなわけ?」
「──…そうだな」
ピタリ
駅前の広場
噴水に面したベンチが並んだその場所で、茜は零に向かい合った。
「…その妙に馴れ馴れしい態度」
「──…」
「あと、髪染めする男も気にくわない」
「……校則違反ではないでしょ?」
茶髪の零は片手を自分の後頭部にそえる。
確かに、凰鳴高校の校則では、カラーは禁止されていない。
「あとは…」
茜はずいっと顔を近づけた。
「カラコンしてるだろ、お前」
「……?」
「紛れもない校則違反だ。…こういうチャラけた男は特に嫌いだ」
「……っ」
近くで見ないとわからないが、零の瞳は完全な黒というより、僅かにグレーがかっていた。