《番犬女》は俺のもの
第24章 クリスマスを君と…
年末は入りたがらない人が多いので、毎年が人手不足。しかし茜にとっては、試験後のこの時期が稼ぎ時なのだ。
「いやー、せめてこの日は休みにしたら?」
「──?」
「24日とか…」
「…何故ですか?」
シフト表を見る中年のリーダーが指で差したところ…。
12月24日とは、そう、特別な日だ。
「何故って…っ、クリスマスイブだろう」
「ああ…」
特別な日の筈なのに茜は特別な反応を見せない。
だからなんですか?
と聞いてくる始末だ。
リーダーは焦っていた。
「よくバイト終わりに迎えに来ている青年がいるじゃないか。あれは彼氏じゃないのか」
同じ制服の青年が、バイト終わりの茜をなかなかの頻度で待ち構えているので
彼はその青年が茜の彼氏なのだと思っているのだ。
「あいつですか…っ」
「クリスマスでーと、だろう? 24日は! こっちは彼女いない野郎ばっかりで、この日だけは人手が有り余ってるからなっ。君は気にせずにでーとを楽しんできなさい」
でーと、の言い方がおっさんぽいが…
ようは、茜のバイト先のリーダーは人の良い男だった。