《番犬女》は俺のもの
第24章 クリスマスを君と…
「わたしはMじゃないですから」
心外だとでも言うようにそっぽを向いた梗子の顔は、…せっかく元に戻っていたのに…また赤くなってしまった。
予想に反した展開にハルクは静かになる。
「ただハルクくんが最近、…学校で様子が変わったと聞いていたから」
「……」
「放っておけなかっただけです。転校してきたわけですし、悩みを打ち明けるお友達も少ないのかもしれないと…っ」
「──…会長の義務、ってわけ」
「…そういうことです」
サクッ
クッキーをかじった彼女の口元から音がした。
「学校に不満があるなら、どうぞ話して下さい」
「噂通りの…鉄壁だね」
凰鳴の生徒会長は、全生徒の憧れであり──高嶺の花だと、その鉄壁の理由は番犬の存在だけではなさそうだ。
それなりにプライドの高いハルクは、いよいよ後に引けなくなった。