《番犬女》は俺のもの
第4章 Rock oN!!!
二人の前のベンチに座っていた女の子が、きゃっと驚いて逃げていった。
「いい加減に…さ、お前呼ばわりはやめてくれない?」
「…っ…離せ…!!」
「離してほしかったら、名前で呼んで」
でこが付くほどの近距離だ。
囁くような声でも、それはしっかりと耳に響く。
「…呼んでよ、名前で」
「……」
「じゃないとこのままキスしちゃうよ?」
顎の手が外れて、代わりに茜の肩を捕まえた。
零の顔の角度が少しずつ変わる──
おでこがついたまま
今度は鼻がつきそうになった
「…っ待て!」
「……」
「呼ぶから…待て…!!」
「うん」
茜は焦っている
「──離れろ…、…しの…ッ…」
「…♪」
「…だ…!!」
「───!!!?」
鈍い音が響いた
次の瞬間、零は自分の頭を押さえてその場にうずくまっていた。