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《番犬女》は俺のもの

第28章 ──…逃げるな



これは…?


「開けて」

「…! 時計か…」

白い箱の中には、キラリと光る細目のチェーン付きのシルバー時計が。


「プレゼントだよ」


蓋を開けたまま取り出そうとしない茜の代わりに、零がそれを取り出した。


「茜さん、腕時計持ってないよね? 時間にきっかりの茜さんが珍しいなーって」


「…腕時計?確かに持っていないが」


「──不便でしょ?」


「…不便? ぁぁ…まぁ、な」


零は彼女の左手をそっと手に取る。


細い手首に、チェーンを巻き付けた。


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