《番犬女》は俺のもの
第28章 ──…逃げるな
周りには関係のない人もいるわけで
道行く人の目線が、一瞬でこの男に集中した。
「本当はコートを脱いで着させてあげたいけど」
「……ッッ??」
「…生憎、俺も持ってないから」
「──…で!?」
で?
何故にハダカ?
「ニットは羽織れないでしょ?だからこの白シャツをあげるよ」
ああーーなるほど
…ってなるかよ変態!
「…こっちに来い…!!」
茜は人目を避けるために、ニコニコとシャツを差し出して突っ立ってる零の腕を掴むと、ビルの隙間の路地裏に引っ立てた。