《番犬女》は俺のもの
第28章 ──…逃げるな
あんなに歩きにくかった靴も…
この状況では、少しも気にならない。
きゃあきゃあ悲鳴を浴びながら、この危険人物をなんとか無害な場所まで連れていった。
「…っ…ハァッ」
「……」
「私はお前を…いわゆる天才のくくりで捉えているんだが」
「ありがと」
「時々、本当に──とんでもないバカなのではと疑うしかない…っ」
「ありがと」
「誉めていない…!!」
12月の夜に、上半身裸の男
満場一致でバカだろう。
「ひねくれたこと言ってないで…さ、はい」
零は怒る彼女の肩を覆うように、シャツを羽織らせた。
「……//」
「…あったかいでしょ、俺の、体温」
「いいから早くニットを着ろよ…!!」
「……照れてる?」
それどころじゃないだろう
「早く…着ろって!…変態篠田」
.......
「わーお、アッツアツだねぇ~おふたりさん」
「──…!?」