《番犬女》は俺のもの
第28章 ──…逃げるな
デザイナーズマンション、洗面台までお洒落だ。
タオルは…ああ、上にあるな、先に取っておこう。
スカートのジッパーを下ろすと服の重みでストンと足元に落ちた。
生まれてはじめてのストッキングを苦労して脱いだあと、白いニットを頭からぬく。
キャミソールも脱いだ彼女は
上下ともに下着姿になったところで、手首に違和感を覚えた。
「そうかこれも…取らないとな」
左手首の腕時計。
水に濡れたら壊れるよな…?
シャワーを浴びるため、茜はチェーンを外すことにした。けれど、外しかたがわからない。
“ 留め金…が、あったこれだな。──くっ、どういう仕組みだ…… ”
片手のせいもあって手こずる。
そもそも留め金の仕組みを知らない。